12月25日
朝ホテルの広大な庭を散歩、霧の湿気で樹木や地面に真っ白な霜で覆われ、雪景色よりも美しい珍しい景色です。リモージュとも今日でお別れ、クリスマス休暇で市内は静まり返っています。午後1時過ぎ、高味先生、パスカルさんに見送られ、パリへと出発しました。
ショップリモージュの最強力取材チームによるパリとリモージュの取材記録。リモージュボックスの制作職人、美術館に所蔵されているアンティークボックス、リモージュの市内案内などご期待ください。
12月23日(土)
サン・ティリエ市庁舎に、ボワッスリ市長を訪問。サン・ティリエは1867年にフランス
で初めてカオリンが発見された土地、絵付けの魔術師パトリック・オドゥヴァールさんの工房があります。市長は、リモージュ・ボックスの販売を通じ街の名前を広めている堂々に感謝の意を述べ、我々の今後の計画への支援と受け入れを約束してくださいました。
この街は、サン・ジャック・コンポステラへの巡礼路にあたり、中心部のロマネスク教会には、ヨーロッパ最古の聖書の写本が収められています。現在サン・ティリエの街は、市長の肝いりで教会を中心とした中世の町並みの修復と保存に力を入れています。
名物の「キュルノワール豚」(黒尻豚)をご馳走になった後、街の助役を勤める歴史家ボワッソー氏の案内で、市郊外マルコニャックのカオリン採掘場跡地を見学しました。帰路リムザン地方の典型的な農家をみせていたくということで立ち寄った古い民家(18世紀建造)は、なんと市長さんの生家! わざわざ市長ご自身が来て「私はこの部屋でうまれたのですよ、今でもこの家で夏を過ごします」とのご説明。過去と現在が同時に生きるヨーロッパの懐の深さをしみじみ感じました。(池田)
この町のFM放送局です。すばらしいURLアドレスですね。カオリンFM88.4をお
サ・セ・パリ!
朝からどんよりとした空、昼ごろから小雨がぱらつき、詩人ボードレールが、「パリの憂鬱」と表した典型的な冬の空模様です。東京でお世話になったパリ市立プティ・パレ美術館の館長ご夫妻を美術館に表敬訪問させていただきました。1900年のパリ万博のために建てられ閉会後パリ市の美術館となったこの美術館は、古代から20世紀初頭までの美術を概観できる充実したコレクションが収蔵され、創建当時のままに復元された室内装飾のもとでみられるパリ中心部の穴場です。18世紀絵画と工芸品が充実していて、金銀細工の貴重な嗅煙草入れ、エナメル・ボックス、磁器製のボックスが展示されています。
夕方は館長さんに教えていただき、シャンゼリゼに残る珍しい貴族館を訪ねてみました。この館は最近まで会員制クラブとして使われ一般には公開されていませんでしたが、オークションの下見会場として期間限定でみることができました。恐る恐る大理石の階段を踏み玄関をくぐると、そこに一匹ネコがいるではありませんか。どうみてもノラちゃんのようですが、守衛さんの話しによるとこの屋の住人だそうです。彼女は、ヴェルサイユ宮殿にも負けない壮麗な広間に並べられた、評価額億は下らないと思われるモネやピカソのタブローのあいだを悠々と歩きまわっているのです。またそれを咎める様子はどこにもありません。なんともいえないこのアンバランス、この余裕というか暢気さこそ、「サ・セ・パリ!(あーこれぞパリ)」と、改めて感心しました。