12月20日(水)
朝からパスカル・ギノーさんの工房「アトリエ・ダール・ド・リモージュ」(GR)で、絵付の様子を見学させていただきました。こちらは、パトリックさんの工房とは対照的に、リモージュ郊外にひろがる近代的な工業ゾーンに在ります。
午後は国立アドリアン・デュビュッシェ美術館の館長シャンタル・メランさんに迎えられ、館内を丁寧にご案内していただきました。この美術館は、厚志家アドリアン・デュビュッシェがリモージュ磁器産業の振興を願い、長年収集したコレクションを寄贈し、私財を投じて開館した世界有数の陶磁器博物館です。現在は国の管理下にあり、ルーヴル美術館と同じ国立美術館連合に所属しています。リモージュ磁器の歴史を中心に、11世紀から現代までヨーロッパ陶磁器の流れを、非常に豊富な収集品を通じて直に概観できる貴重な施設です。とりわけ19世紀後半の万博出品作、他国の追随を許さぬアイテムとしてリモージュがその独自性をアピールした白磁の大作、アール・ヌーヴォーの語源にもなったパリのビングのギャラリーのために特別制作されたアーティスト作品、印象派の油彩画のタッチを磁器上に再現した「バルボティーヌ」、中国の辰砂を手本に開発された高温焼成の真っ赤な「サン・ド・ブッフ」(牛血釉)など、現在では失われてしまった高度な技術と、稀有な才能との出会いから生まれる傑作の数々は、磁器という特殊なやきものに秘められた神秘的な霊力を感じさせずにはいられません。またこの美術館では、リモージュ・ボックスの前身にあたる18世紀フランスのヴァンセーヌ、サン・クルー、メヌシー他の軟質磁器製ボックスを数多くみることができます。その中のいくつかは、パトリック・オドゥヴァールさんが正式の認可を得て、アトリエ・ド・チューリピエから復刻されているので、ショップ・リモージュのサイトに写真が掲載されています。
コメント:見学後、館長さんはわざわざ我々のために、収蔵庫から展示品以外のボックスを取り出し、見せてくださいましたが、そのことはブログには載せられないので、省略してあります。また館内で撮影した写真も、国立美術館連合の許可なしには掲載できないので、ご了承ください。
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