2006年12月18日月曜日

シャンゼリゼの猫 サ・セ・パリ!

サ・セ・パリ!

朝からどんよりとした空、昼ごろから小雨がぱらつき、詩人ボードレールが、「パリの憂鬱」と表した典型的な冬の空模様です。東京でお世話になったパリ市立プティ・パレ美術館の館長ご夫妻を美術館に表敬訪問させていただきました。1900年のパリ万博のために建てられ閉会後パリ市の美術館となったこの美術館は、古代から20世紀初頭までの美術を概観できる充実したコレクションが収蔵され、創建当時のままに復元された室内装飾のもとでみられるパリ中心部の穴場です。18世紀絵画と工芸品が充実していて、金銀細工の貴重な嗅煙草入れ、エナメル・ボックス、磁器製のボックスが展示されています。

夕方は館長さんに教えていただき、シャンゼリゼに残る珍しい貴族館を訪ねてみました。この館は最近まで会員制クラブとして使われ一般には公開されていませんでしたが、オークションの下見会場として期間限定でみることができました。恐る恐る大理石の階段を踏み玄関をくぐると、そこに一匹ネコがいるではありませんか。どうみてもノラちゃんのようですが、守衛さんの話しによるとこの屋の住人だそうです。彼女は、ヴェルサイユ宮殿にも負けない壮麗な広間に並べられた、評価額億は下らないと思われるモネやピカソのタブローのあいだを悠々と歩きまわっているのです。またそれを咎める様子はどこにもありません。なんともいえないこのアンバランス、この余裕というか暢気さこそ、「サ・セ・パリ!(あーこれぞパリ)」と、改めて感心しました。

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